情報技術科 No.24 竹内優佳
①研究の背景
フルートなどの管楽器は、音が大きく家での練習ができない。そこで、電子ピアノや電子ドラムのような、ヘッドホンを接続して本物のフルートと同じように演奏できるフルート型の電子楽器があればいいなと思った。
②仮説とねらい
フルートの楽譜には細かい音符が多く出てくるため、指を速く動かせるようになることが重要である。
電子楽器にするメリットとして、ハードウェアは電気信号の有無でのみ動くという特徴があるため、正確な運指の練習に使えるのではないかと考えた。
③研究内容
研究の概要
指使いを練習できるフルート型の電子楽器を製作する。キイに見立てたボタンを押さえ、頭部菅(唄口)に息を吹き込むと音が出る。イヤホンやヘッドホンを接続して使えるようにする。
<イメージ図>
作業内容
音源の作成・運指のデータ化・回路の設計・本体ケースの作成
④技術的知識
1.FM音源(シンセサイザー)
電子楽器は「FM音源(シンセサイザー)」を用いて音を作り出している。この技術は、ある音に別の音を作用させて元の音に変化をつける「周波数変調」を利用している。これを利用すると、音程・音色(おんしょく)・音量を一括でコントロールできるが、出てくる音が人間がどのように感じられるかはわからないので、センスを問われる部分がある。
デジタル音源では最も一般的な技術であるため、これを学んで利用しようと考えた。
2.フルートについて
フルートは、3つの管を繋いで出来ている。
また、運指の組み合わせは109種類にも及ぶ。
⑤取り組んだ内容
1.音源の作成
音源を作成するために、ヤマハのFM音源ICを載せた基盤「YAMAHA YMF825 Board」を使うことにした。
この基盤を使うと、音の波形の周波数を変えることができる。しかし、この基盤の値段が高かったこと、また「音源の研究だけで課題研究が終わっちゃうよ」と先生に言われてしまったことから、音源の作成は余裕ができてからすることにした。マイコンでPWMを利用すると電子音を出せるので、余裕ができるまでその電子音を使うことになった。
2.運指のデータ化
キイに番号をつけ、Excelを使い運指を表にまとめた。
真理値表の要領で、押さえるところを「1」、どちらでもよいところは「アスタリスク」とした。
3.本体ケースの作成
➀フルートのサイズを測る
実際のフルートのサイズを測るのは、電子楽器を制作するうえで、演奏の感覚が本物の楽器と変わってはいけないと思ったので、キイの大きさや位置を本物のフルートと同じにするためである。
➁CADで図面を作成する
「PTC Creo Elements」という3DCADを使って図面を作成する。
⑥課題研究で学んだこと・わかったこと
1.3DCADの操作
ケースづくりの作業の際に、今まで使ったことのないCADを操作した。その中で、3DCADの扱いを学び、慣れることができた。
2.フルートがもっと好きになった
フルートについて調べていくうちに、自分が使ってきた楽器の理解が深まり、フルートに愛着が湧いた。
3.研究の見積もりが甘すぎた
最初にあげた別のテーマは、今の自分が取り入れられる技術の上を行くものだったので、身近な物の技術レベルの高さと自分の知識が浅いことを痛感した。それによって作業開始までに時間がかかってしまった。
4.先生とのコミュニケーションを積極的にとることができず、作業のスピードが遅くなってしまった
わからないことがあったとき、自分の力で解決しようとしすぎて、ひとつひとつの作業に時間をかけてしまった。
⑦感想
この課題研究を完成させることができなかったのは本当に悔しい。課題研究と向き合う中で、技術力や知識がまだまだ少ないなと感じたので、もっと向上させていきたい。そして、一からモノをつくることの難しさを痛感した。この経験を忘れずに、次のステップに生かしていきたい。