情報技術科 No.14 近藤 実悠
①研究の背景
加湿器と言ったら冬に大活躍するものだと想像する人が多いだろう。
https://myel.myvoice.jp/products/detail.php?product_id=23406
上記のグラフでも示されている通り、八割が冬場に利用されている。
そこで、物の固定観念を捨てて見方を変えることにより、新しい働きができるのではないかと考えた。
②仮説とねらい
下の写真は繊維室の締め切った部屋の温度を示している。
締め切った繊維室の温度27度
そこで、実際に加湿器に風を当てて密封した部屋に1時間置いた。
加湿器に風を送った時の温度24度
写真から分かるように、
繊維室の温度が27度から24度に下がっていくことが分かった。
<結果> ”加湿器に風を送る”という条件を一つ加えることにより、
快適に過ごせる部屋になったことが分かった。
このような仮説から、実験を通して
冬場に活躍している加湿器を夏にも大活躍させようと考えた。
③研究内容
・猛暑の中快適に過ごせる装置をつくる。
→少しでも快適に過ごせるような部屋にする。
(近年では熱中症患者が増加しているため)
(例)浜松工業高校にある繊維室で温度の計測をして装置の取り付けにより温度の変化を調べていく。
→風通しが悪く、熱がこもりやすいため。
・超音波振動子を利用し温湿度センサ(DHT11)に応じて涼しさを調整。
④技術的知識
・超音波振動子の知識
・ラズパイに温湿度センサ(DHT11)取り付け方
・ラズパイのusb制御について
⑤取り組んだ内容
1. 加湿器の働きを知る
加湿器の種類は下図にある通りである。
https://i0.wp.com/kurashi-hello.xyz/wp-content/uploads/2018/01/1801282310.jpg?resize=873%2C401&ssl=
・加熱式・超音波ハイブリッド式・気化ハイブリッド式
これらはヒーターで水を沸騰させる加湿方法なので夏に使用することは難しい。
・気化式・超音波式
この二つの働きは、夏時にも活躍できるのではないかと考えた。
気化式の働きは、中で湿った布に空気を当てることで空気を湿らせて加湿している事から冷たい空気が出ることがわかり、実験で3度下がった理由が分かった。
超音波式の例を挙げるなら噴霧器やミストシャワーがあげられる。また水を細かくして空気中や服、肌についてから蒸発することによって、昔から伝わる打ち水の原理で涼しくなると考えた。
2. 加湿器設計
加湿器の働きを理解できたことから設計に入る。超音波式を利用して夏を涼しく快適に過ごすことできることが分かったので装置の大元となる”超音波振動子”を使用することにした。
構造を決める前に夏に使用して起こる問題点を挙げ改善した。
・水の蒸発が早くなる
・中の水がぬるくなり湿気が高くなって蒸し暑さだけが残る
また、超音波を発生させる振動子に長時間継続的に電流が流れることによって、ジュール熱が発生すると考えた。
これらの問題点を解消するために二層構造に設計をし、綿から水を取り入れ効率よく吸水し、その綿を冷やすことにした。
これらの設計から、超音波振動子の加湿機器を利用しながら、気化式の加湿方法も取り入れることによってさらに涼しくなった。
⑥結果
・ラズパイと温湿度センサを取り付けて”Google chats”でグラフ化し、温湿度変化の確認をして、実際に装置を取り付けた時の温度変化を比較。あるのとないのとでは大分変化することができた。このことから何もない状態から冷風扇を取り付けることによって、夏バテ防止に繋がる。
・”冬の乾燥時に利用するものが夏にも利用することができる”という、物の捉え方を変えることによりいろいろなものが多様な使い方で使用できることが分かった。
⑦感想・考察
超音波振動子の特長をいかして柑橘系では眠気防止、次亜塩素酸ではウイルス予防などエアコンの除湿とは異なった装置を完成させることができた。その一方、改善点としては電源を供給する際にMOSFETの素子を挿入すれば
✓高速スイッチングが可能
✓電力ロスが少ない
✓高効率
✓小型軽量化や集積化が容易
が実現でき、ワイヤレス通信が可能になって冷風扇の作動が自動になるのではないかと考えた。もう少し早く取り組んで入ればよかったと反省。